彼等のタトゥーデザインは動物などの具体的なモチーフを一定の法則を持った方法で描くという点で、紋様というよりも絵画に近いという特色があり、そしてさらに他のトライバルタトゥーと一線を画す点として赤色の使用が挙げられます。北方民族であるハイダ族は日照時間の少ない生活によって、これまでに紹介してきた南の部族達よりも肌の色が薄く、赤色が映える条件が整っていたため、それを使用するようになったのではないでしょうか?
ハイダ(haida)族のアートとして有名な、生物を主として抽象的に表現するトライバルタトゥーパターンはカナダの太平洋北西沿岸部の諸部族、トリンギット(tlingit)やクワギル(kwakiutl)などにも同様に見る事ができますが、それらの生物と彼等を結びつけているものは、特定の生物が変化して自分たちの氏族の霊的祖先となっていると考える祖霊信仰です。
かたちあるものは滅びるが魂、精霊は残り続けるというアニミズムの思想が、生物が人間に変化しうるというアイデアを成り立たせているわけです。西洋の紋章や日本の家紋のような社会的役割をこれらの生物のトライバル柄が表しているのです。
タトゥーにおける非常にポピュラーなモチーフとして挙げられるのはなんと言ってもワタリガラスですが、それは彼等の神話の中で人類に知恵を授け文化をもたらすという大きな役を担っているためでしょう。カラスの仲間が高い知能を持っていることは周知の通りですから、これは日本人にもなんとなく理解できます。
他のトライバルタトゥーモチーフにしてもそれは同様であり、鷲は神や精霊と人とのあいだを自在に飛んで橋渡しできるもの、フクロウ首を傾げて考え事をしているようなので森の賢者、蛇は脱皮するので再生、熊は圧倒的な力、ビーバーは巣作りに長けているので家族の絆、狼は獲物を工夫して狙うので探究心、海の王者シャチは部族のリーダーの生まれ変わり、といった具合です。諸部族によって捉え方にすこしずつ違いもあるようですが、一様に見受けられるのはすべての生物を人に対するのと同じような敬意の視線で解釈しているところであり、それこそが精霊という概念をもって世界に接する彼等の思想のコアの部分なのだと思えます。
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引用
著書:「traibal tattoo designs from the americas 」出版:mundurucu publishers
著書:「traibal tattoo design」出版:the pepin press
著書: 吉岡郁夫「いれずみ(文身)の人類学」出版:雄山閣
参考文献
著書:「THE WORLD OF TATTOO」Maaten Hesselt van Dinter著 KIT PUBLISHER
著書:「世界民族モノ図鑑」明石書店
著書:「EXPEDITION NAGA」 著者:peter van ham&jamie saul 出版:antique collectors, club
著書:「MAU MOKO The World of Maori Tattoo」Ngahuia Te Awekotuku with Linda Waimarie Nicora
著書:「縄文人の入墨」高山純, 講談社
著書:「TATTOO an anthropology」MAKIKO KUWAHARA, BERG
著書:「GRAFISMO INDIGENA」LUX VIDAL, Studio Nobel